明るい太陽と新鮮な空気

昨日の夕食時の話でした。義母が行きつけの近所の医院では、受付の看護婦さんが、みんなマスクをしていたというの
です。そこの女医さんに、その話をすると「実は、児島には中国と行き来する人が多いので、いつSARSが入ってくるか
分からないから」と言うものでした。そう言われてみれば児島には繊維関係の会社が多く、中国から来た人や中国に
工場がある会社が少なくありません。当然、こちらから中国へ出張や中国からこちらへ来る人も多いのではないで
しょうか。家内が入っているコーラスグループの男性メンバーの中にも、繊維関係の仕事をしている人がいて、出張は
しばらく見合わせているとの事でした。気が付きませんでしたが、SARSの影は、こんなところにも影響を及ぼしていた
のです。
さて、看護婦さんやお医者さんの事ですが、昔はみんなマスクをしていたような記憶があります。いつからマスクを
しなくなったのでしょうか。歯医者さんだけは今でもしているようですが、その他の病院や医院ではほとんど見かけなく
なってしまいました。子供の頃、大きなマスクで顔一面を隠して目だけが出ているお医者さんを見て、恐ろしさに身の
すくむような思いを抱いた事もあります。お医者嫌いになったのも、案外、こんな経験が記憶となって残っているから
かも知れません。
病院には色んな細菌がたくさんいると聞いています。当たり前の事かも知れませんが、病気だからこそ、その治療に
病院や医院に来ているのです。だから患者が持ち込んだ色んな細菌がいても不思議ではないのです。昔の病院や
医院はいつも消毒薬の臭いがぷんぷんしていました。それくらい消毒には気を遣っていました。今のように良い薬が
ない時代でしたから、こうして身を守るしか方法がなかったのだと思います。
最近、院内感染という言葉をよく耳にします。病院の中にいる細菌は何度も抗生物質にさらされる事によって耐性が
出来、強くなっているようです。そのため、ありきたりの抗生物質では治療できなくなっています。まさに、感染症に
とって危機的な状態だと言えます。
院内感染を防止するには、病院の中を清潔にすれば良いことなのです。近年、多くの病院は一見非常に明るく清潔に
なったように見えます。しかし、外来者はほとんど土足で出入りしています。そのため外から持ち込まれる細菌も少なく
ありません。また、四六時中エアコンが動き密閉状態です。そんな病院の中で細菌を含んだ土埃はカーテンや壁や窓の
さんやドアの上などにも、たくさん積もっているはずです。埃の中の細菌が注射の時など落ちてきて、注射針と一緒に
患者さんの体内に入ることは容易にあり得ることではないでしょうか。
昔の病院や医院は何となく薄暗く清潔でないイメージもありましたが、大抵はスリッパで歩くようになっていましたし、
空気を入れ換えたり院内の換気にも神経を使っていたようです。ほんの少しの注意と発想の転換とで院内感染の
危険性は随分少なくなるのではないでしょうか。
発想の転換と言えば今回のSARS騒ぎ、ベトナムにもSARSは持ち込まれ患者も発生しました。しかし、何とか
感染の広がりを押さえたようです。その方法が院内にウイルスを閉じこめておくのではなく、窓を開放し外気を導入
して院内への空気の滞留をなくしたと言うのです。また、太陽の光を取り込んで殺菌にも工夫したとの事でした。
高い薬や高度な治療ばかりではなく、逆転の発想とも言うべき方法で、感染を食い止めたとのことでした。逆は
真なりという言葉がありますが、その言葉を裏付けるような発想です。
恐ろしい病気も案外こんなところに解決の糸口があるのではないでしょうか。大いに見習うべき事だと思っています。
明るい太陽と新鮮な空気、それだけで病気は随分良くなるような気がしてきます。
2003年6月14日掲載
追記
SARS発生の地とされる中国では、やっと終息の方向に向いているようです。喜ばしい事です。しかし、このウイルス、
再び、いつ牙をむきだしてくるか分かりません。ゆめゆめ油断は禁物です。
細菌と薬の闘いに限りはありません。ともすれば息切れしそうな薬の開発、人間が全てを克服できる日は来るので
しょうか。もっと、細菌やウイルス対策については原点に立ち返って考え直すべき時ではないかと思うのですが。
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