どん底から立ち上がれ
かつて経済大国であった日本は、いま深刻な不況の中にあります。しかし、何でそんなに深刻にならなければならない
のでしょうか。国民が持っている総資産は他の国を圧倒するかの如くあるのです。ただ、みんな何を信じて良いか分から
ない、将来にはたくさんの不安材料があるから深刻なだけなのです。いくら持っておれば安心なのか、いくら蓄えておれば、
将来に不安を抱かずに暮らす事が出来るのか、何も分からないから蓄えたままで使うことが出来ないのです。
信じていたい政治が信じられないことほど国民にとって不幸な事はありません。戦前は信じなくても良かったのに政府の
やることや宣伝をまじめに信じたが為に軍国主義国家となって戦争に突入し、アメリカに叩きのめされて始めて自分の
愚かさに気が付きました。過去数百年さかのぼっても、日本人にとって政治が民衆や国民の為にあった事は一度も
ありませんでした。政治は民衆や国民にとって助けになるどころか、常に搾取と抑圧の対象でしかなかったのです。
従って、政治に対する根強い不信感があっても不思議ではないのです。その状況は戦後もずっと変わりませんでした。
それでも日本社会党や総評という政府に敵対しうるに足る勢力が一方にあった時代は、その勢力が存在するが故に
時の政府は要求を無碍にはねのけるわけにもいかず、国民に多少なりとも、譲歩した政治を行ってきました。その勢力が
なくなった現在、与党自民党と政府は野放図な政治のやり方に変わってしまいました。「奢る平氏」に変貌してしまったの
です。
日本経済が危うくなるにつれ、外国の評価による日本の国債の価値が低下し、銀行のランク付けが下がり、今やイタリアと
同等か、それ以下だといわれるようになりました。これはこれで仕方のないことですが、この影響は海外と取引をするときや、
海外で事業を展開しようとするときに、大きな信用問題となって企業に負担を強いています。こんな事が影響してか、ここの
ところ銀行株や製造業の株までもが低下の一途をたどっています。製造業には確かな生産設備と将来性、多くの優秀な
人材がいるのにも関わらず、このように理不尽な状況に置かれているのです。
このような状況にあるとき、私達国民一人一人があまりにも過剰な反応は抑制すべきだと思います。これ以上事態を
深刻化させることは天に向かって唾を吐くようなものです。自分たちの足下をしっかり見据えることが必要です。私達の
足下には確たる技術と長い間蓄積をしてきた多くのノウハウがあります。消費基盤も落ち込んでいるとはいえしっかりと
機能しています。
今更、何を恐れるのでしょうか。確かに将来を眺めた時、高齢化や少子化の問題があります。しかし、先日のNHK
の「データマップ日本」でも紹介されていたように、みんなの創意と工夫によりいくらでも解決の方法はあるようです。
そして、戦前と異なり多くの社会的資本の蓄積もあります。まだまだ豊かな国日本なのです。外国の評価も実に一方的な
もので、軽く見ることは禁物ですが、さりとて必要以上に深刻になることはないと思うのです。日本人の勤勉さと賢さとを、
これからの再構築に生かすことが出来れば、必ず近い将来立ち直ることは可能です。
今、日本経済の基盤を危うくしているのは不良債権問題です。この処理のタイミングこそは専門家でないと分からない
ことですが、何とか早急に解決して身軽くなっての再出発が必要です。この不良債権をいつもでも持っていると手かせ
足かせになってしまい自由に羽ばたくことが出来ないのです。
幸いにして年明けの1月17日のニュースでは大手スーパーダイエーの不良債権の処理が一段落したと報じられました。
まだまだたくさんのハードルはあるようですが、何かしら明るい兆しが見えたような気がしてなりません。2002年が本格的な
経済復興の年であることを祈ってやみません。
2002年2月11日掲載
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