大いなる負の遺産

今、原子力発電所の老朽化が問題となっています。同じ頃建設した原発が次々と老朽化しているのです。一般に核施設は
強い放射能のために老朽化が早いと言われています。原発一基廃棄するのに要する費用が数百億円とも言われています。
お金はともかく、いったいどのようにして廃棄するのか、放射性を帯びた廃棄物をどのような形で保管するのか、その辺の
ところは暗中模索の状態だと言われています。
原発本体の廃棄問題以前から話題になっていたのは核燃料廃棄物の問題でした。毎年出てくる膨大な廃棄物の一部は
プルトニウムと新しいウラニウムを混合しモックス燃料として再使用しようと言うものでした。しかし、国内ではモックス燃料を
作る事が出来ず、フランスやイギリスに頼んでいました。しかし、このような形で再使用したとしても、その量はわずかなもの
です。その上、プルトニウムはそれ自体、核爆弾の原料にもなりますし大変毒性の強い放射性物質です。
アメリカ国内では政府の核開発施設や研究所から洩れだしたプルトニウムが、近隣の農家に大きな被害を及ぼしたという
事例もあります。従って、取り扱いにも余程慎重を期さないと、大変な事になりかねません。広大な土地を有するアメリカで
さえ、このような事件が起きるのですから、狭い国土の日本では一度何かが起きると、取り返しがつかないことになってしま
います。
だからといって、今日の電力需要の状況を考えると、原発なしでこの膨大な電力をカバーすることは出来ません。水力発電
にも限度がありますし、火力発電にしても炭酸ガスによる地球温暖化の問題があります。一番良いのは私達の生活レベルを
落とすことですが、それも現実的ではありません。
原発の廃棄以外にも作業員の着ていた作業着や道具などもみんな放射性廃棄物として蓄えられています。いつかは置き
場所にも困る日が来るのではないでしょうか。岡山県でも廃棄物施設を県北の荒戸山の地下に作るとか、廃坑後を利用する
だとか、そんな話がくすぶり続けています。
青森県の六ヶ所村では廃棄物処理場と保管場の建設が進んでいます。しかし、地震だとか施設からの漏れ出した放射能
が地下水に及ぼす影響など、常に不安がつきまとっています。日本全国、安全なところはどこもないのです。
また、現在稼働している設備だって、いつ何時どんな事故や地震などの被害に遭わないと言う保障はありません。これは
一企業や国に任せておけば済むような事ではありません。私達も積極的に話の中に入っていき、真剣に考えていくべきでは
ないかと思っています。私達の孫子の代に大きな負の遺産を負わせる訳にはいかないと思うのですが。
2002年7月11日掲載
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