皮膚と胃腸

皮膚の膚という字の中には胃という字があります。そんな事から、私は長く皮膚と胃腸、特に胃は密接な関連がある
のではないかと思い込んでいました。私自身どちらかというとアレルギー性の体質で、繰り返し皮膚の疾患に悩まされて
来たからです。先日も皮膚科の医院に行ったとき先生に尋ねて見ました。「先生、皮膚と胃腸は関係あるのでしょうか。
何かしら胃が悪くなると、皮膚病も悪くなるような気がするのですが」、と聞いてみますと、「それは関係ないでしょう」と
一言のもとに否定されてしまいました。「ただ、胃潰瘍になりやすい人はアレルギー症状など出やすいですよ。ストレスと
アレルギーとは関係があるようですから」と言われました。
確かに、長い緊張感や激しいストレス状態が長く続くと、胃潰瘍とまでは行かないまでも胃の調子が悪くなるのは確か
ですし、そんな時、アレルギー性の皮膚炎も悪化するようです。人間、誰でも一つや二つは弱点を持っています。そんな
弱点の一つが、私の場合、消化器や皮膚なのかも知れません。弱いところにストレスの影響が出てくるようです。
話は飛躍しますが、昔から腹に関係のある言葉やことわざがたくさんあります。曰く「腹黒い人」「腹に一物」「腹芸」
「腹から笑う」「腹がたつ」等々です。あまり良い言葉はありませんが、いずれも腹に関係のある言葉です。そして、
それらは、その人の心の内や行いを表現しています。腹と心、一見何の関係もないように見えるのですが、緊張が
長く続いたり、激しいストレスを体験すると、一挙に胃潰瘍などになったりすると言いますから、やはり腹(胃腸)は
心の内を表しているのかも知れません。
こんな事からも心穏やかな日々を過ごすことこそ、健康の秘訣とも言えます。最近、カスピ海ヨーグルトなるものが
流行っています。ヨーグルトは大変体に良いと言われています。ヨーグルトの産地では長生きの人が多いとも言われて
います。世界的に有名なヨーグルトの産地である旧ソ連のコーカサス地方を訪ねた特集番組等を見ていますと、この
地方は自然が豊かで心豊かな生活があります。世界がどんな変化を見せようとも、先祖から受け継いできた確固たる
生活をかたくなまでに守り、悠々自適に生きている人達の暮らしがあります。
ヨーグルトが健康に良いのも、その理由の一つでしょうが、むしろ、その場所での生活こそが、健康で長生きの
秘訣のような気がします。便利で快適な生活も捨てがたいのですが、多少不便でも自然と共にある生活にも忘れては
ならない教訓が潜んでいるように思えるのです。ストレスのない生活こそが、心や体に負担をかけない生き方では
ないかと思いつつ、今日もストレスにさらされながら生きています。
2003年6月14日掲載
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