人のこころ

人の心の有り様はまことに不思議なものです。先の児童虐殺で逮捕された実の母親は恭一君が施設にいるとき何度も
電報を送ったり、電話をかけてきたり、小学校に入学の際には、色んなものを買い与えて母親らしい気遣いをいくつも
見せています。まさに慈愛に満ちた母の姿です。しかし、引き取った恭一君が自分になじまないからといって態度は豹変
していきます。慈愛に満ちた母親は一変して鬼に変わっていったのです。彼女の中にどんな心の変化があったのでしょうか。
誰も伺い知ることは出来ません。
このように、私達は胸の中に相反する二つの心を持っています。一つは優しい心、もう一つは悪魔にも似た恐ろしい心
です。能などでは良くこの辺のところが演じられています。世の中の多くの出来事を眺めていますと裁判とか刑罰では
絶対に解決し得ない問題がたくさん残っているように思います。
如何にすれば人の心を解きほぐし素直な心に導くことが出来るのか、お釈迦様の時代から永遠のテーマでありました。
このページではそういった人の心の問題を取り上げて共に考えていきたいと思い書き始めました。
NHKの大河ドラマでは毎年、時代に足跡を残した歴史上の人物を取り上げています。昨年の大河ドラマの主人公
北条時宗はまさに人間的に生きようとして苦悩する人でありました。時の権力の最高位にありながら、なお苦悩する
姿を見る時、何と人の心の孤独で弱いものかを感じさせられます。
平清盛は並ぶものなき権力の頂点を極めながらも、常に自分を追い落とすものの悪夢の中に生き続けました。
こうしてみてきますと人間の実像というものがおぼろげながら見えて来ます。それは紛れもなく孤独で傷つきやすい
人間の姿であります。この世に一人で生まれ出て、そしてまた一人であの世に旅立たなければならない人の姿です。
私自身もまた同じ悩み多き人間ですが、共に考えることでいくらかは心の負担が軽くなるのではないかと考えて
このページを運営してきました。考えることあればお便りをお送り下さい。共に悩み考えて見たいと思っています。
2002年9月9日掲載
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