宗教家でもなく、ましてや予言者でもない私がこんな事を書くのはためらわれるのですが、ずっと以前から感じて
いたことを書いてみたいと思います。
「人心が揺れる時、天変地異が起こり、天下が乱れる。」何の脈絡もない言葉です。しかし、妙に心にひっかかる言葉です。
歴史をさかのぼってみると不思議に人間界の出来事と自然界の出来事は符丁をあわせたように妙に重なり合うのです。
時あたかも平成12年、激動の昭和が終わり、平和で満ち足りた日々であるべき平成はどうでありましょうか。
それまでの繁栄をあざ笑うかのようにバブルは崩壊し、崩壊後の世の中は一変してしまいました。それは繁栄の
中で築かれてきたものが、まるで夢の中の出来事であったように、次々と壊れていったのです。それは単に経済のみ
ならず、私達の心までずたずたに引き裂いていきました。そうした様々な悪しき出来事は何一つ解決の出来ぬまま、
いまもなお、ずるずると引きずっています。
人の世の出来事と時を同じくして、天変地異は頻々として発生しています。それは地震であったり、火山の噴火で
あったり、あるいは季節の巡り来たりの異変であったりしています。雨の降らない年があるかと思えば、最も雨の
少ないと言われるところに集中的に降ってみたり、台風が吹き荒れたり、竜巻が発生したりしています。
気象異変には人間が作り出した事が原因で発生したものもあります。大量に掃き出される炭酸ガスは大気中に
蓄積され、温室効果によって北極や南極の氷が解けだしたり、ヒマラヤ山脈の万年雪や氷河が年を追う毎に失われています。
便利になった反面失われたものも多いのです。冷蔵庫やクーラーと言ったものは、私達の生活を豊かに便利にして
くれました。しかし、これらの後始末が悪かったばかりに、空気中には大量のフレオンガスを放出してしまいました。
この不活性のガスはやがて分解し大量の塩素ガスとなっておびただしい酸素を消費します。その結果オゾン層は
破壊され、巨大なオゾンホールが広がっています。特に先進国の集中する北半球は深刻です。やがては北海道
あたりまでも広がってくるかも知れません。
トルコで大地震が起き、台湾で全島を揺るがすような大地震が発生し、フィリッピンのピナツボ火山が大噴火をし、
いままた、日本の各地の火山が次々と活動を始めています。
阪神大震災では想像をもしていなかったところに大地震が発生しました。これらは地球という生き物の鼓動のような
ものです。繰り返し、周期的に訪れては私達に大きな被害を残していきます。
周期性のあるものが、人間の営みと奇妙な一致を見せるのは恐らくは偶然のなせる出来事だとは思います。
しかし、この偶然が歴史的に見て多くの場合、歴史の曲がり角、転換点になっているのは単なる偶然なのでしょうか。
誰にも分からないことです。良きにつけ悪しきにつけ、私は自然が打ち鳴らしている警鐘だと思いたいのです。
いまこそ、私達は非なることは非と言い、間違ったことは改めていかなければならないと思うのです。
このままずるずる行くという事は、ますます状況を悪くしてしまいます。自然の警鐘に素直に耳を傾け、何かを
なさねばなりません。天災による被災者のみなさんには何の戯言をとお思いの方も多いと思いますが、私達も決して
他人の不幸と思っているわけではありません。それどころか明日は我が身かも知れないのです。共に苦しみや
悲しみを分かち合いながら、明日の日本をいや世界をより良きものにするため一緒に努力しようではありませんか。
2000年9月16日掲載
ここに読んで頂きたい二冊の本があります。
一冊は「ニッポン崩壊地図」 高田明典(たかだ あきのり)著 夏目書房刊と言う本です。
崩壊とはただごとではない気がします。しかし、いま正に日本の状況はこの本に書かれているとおりではないでしょうか。
是非、みなさんに一読をお薦めしたい本です。
もう一冊は文中にも書いた天変地異を科学的に解説した実に理解しやすい本です。
「地震のことがわかる本」 饒村 曜(にょうむら よう)著 新星出版社刊
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