華氏911

実に多くの話題を呼んだ映画である。映画はいかにブッシュ政権が欺瞞に満ちたものであるかをよく描いて
いた。ドキュメンタリーというストーリーを持たない映画を見たのは初めてであった。 映画はブッシュ政権誕生
当時の不可思議な事から始まった。圧倒的に民主党のゴア候補が有利と見られていた選挙結果が、後半に
なって急速にブッシュに変わっていく。この辺には、いくつもの疑問点が指摘されていた。最後まで開票結果が
もつれたのはフロリダ州だった。疑問票がたくさんあって何度も集計をし直した。その結果、わずかな差で
ブッシュがゴア候補に競り勝った。フロリダ州知事はブッシュの弟だった。
ブッシュが大統領になったとき、恒例となっていたホワイトハウス入りのパレードが途中で中止になった。
大統領の乗った車に卵などが投げられたからだ。前例のない事だった。誰の目にも開票結果に不正があった
と思われたからではないだろうか。
ブッシュは政権の座についてから半年近く大統領職を放り出して遊んでいた。環境問題の京都議定書を
批准しなかった事にも現れているように、政治的関心をほとんど持たなかった。また、当時はイラクに大量破壊
兵器などありはしないと明言していた。イラクは先のイラク戦争で戦力を使い果たしているとも言っていた。
9.11は記憶に新しい大事件であるが、事件前からテロの危険性が指摘されていた。それにも関わらず
ブッシュは何の指示も出していなかった。大統領になったことに慢心して遊び回っていた。テロがあった当日は
弟がいるフロリダにいた。ここの学校で子供達を前に本の読み聞かせをしていた。側近からテロがあったことを
知らされても、その場を動こうとはせずじっとしていた。動こうとしなかったのではなく、おそらくは動けなかった
のではないだろうか。自分がどういう立場であり、どうしなければならないかと言うことが分からなかったようだ。
危機管理意識がないというより、そういう資質がまったく欠落している大統領である。
こうしてブッシュ政権としての反テロの戦いが始まった。将来展望を持たないままテロとの戦いに引きずり
込まれてしまった。ブッシュは、パパブッシュと言われる父親の時代から石油大国サウジアラビアと深い親交が
あった。従って、サウジの王室だけでなく、富豪であるビン・ラディン一族とも親交があった。テロ直後は事件の
拡大防止と犯人達の国外逃亡を阻止するために国内外の移動が禁止されていた。そんな中でさえサウジ人達
には国外に出ることを許している。これは何を意味しているのであろうか。表向きは民主国家だと思われている
アメリカだが裏では何が行われているか分からない。
こうしてアメリカ国民はオサマ・ビン・ラディン達アルカイダが潜んでいたアフガニスタン攻撃にのめり込んで
いった。そして、アフガン攻撃の後、一息つく間もなく、ありもしない大量破壊兵器があると因縁をつけてイラク
攻撃に踏み切った。そして、イラクを民主国家に立て直す事も出来ず泥沼化している。イラク国民の多くが
傷つき死んでいった。そしてなお混乱は拡大し続けている。
これらの戦争にかり出されたアメリカ兵の多くは純真な祖国愛を持った若者達である。その若者達が疑問を
感じながら戦争をしている。自分たちは何のために戦争をしているのだろう。傷つき倒れていくイラク人を目の
前にして何も感じないものはいない。まして同僚が死んでいき自らも傷ついたとき感じる疑問は多い。
更に、かわいい子供を亡くした親の嘆きは深刻だ。しかし、これが現実の戦争というものである。ブッシュは
国費削減のために兵力の削減を行ってきた。その結果、イラク戦争に投入する兵士の数が不足している。
軍関係者が急遽街頭へ出て兵士候補の若者を物色している。これら若者達の多くは低所得者層の者たち
である。イラク戦争に行っている上院、下院議員の子弟はたった一人である。この現実はかつての旧日本軍
でも同じようなものだった。兵役を逃れたい上流階級の子弟は裏金を使っていた。
このように欺瞞に満ちたブッシュ政権は今も続いている。そして、間近に迫った大統領選では民主党のケリー
候補との接戦が続いている。またも前回選挙のような事を繰り返すのだろか。アメリカの大統領はアメリカだけ
でなく世界に影響を及ぼす大統領である。どうかアメリカ国民が良識ある判断を下す事を願っている。
2004年10月7日掲載
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