カスピ海ヨーグルト

先日、ある女性が今日は二十匹余りのマウスを解剖してきたと話していました。「ええっ、二十匹ものマウスを」と大変
興味を持ちましたので、その理由を尋ねてみました。彼女は国立O大学の大学院生でした。動物の消化に関する研究と
して、腸の中の細菌の働きを調べているのだと話してくれました。そのために条件の異なる何グループかのマウスを
飼って、解剖をしては腸の中の状態を調べているのだそうです。
草食動物などは繊維質で栄養価の低い草を食べていながら、あれだけ大きな体にまで成長し、体力を維持しています。
そのためには効率よく消化を行い、栄養を無駄なく体内へ取り込む必要があります。
その働きをしているのが、人間では退化してしまった盲腸なのだそうです。この中にはたくさんの細菌がいて、消化の
手助けをすると共に、栄養となるべきものが体内に取り込まれやすくする働きをしているそうなのです。人間では、ほとんど
退化してしまった盲腸ですが、多くの動物には盲腸があり、消化に関して重要な働きをしているようです。
そう言えばシロアリは自分の体内にたくさんのバクテリアを飼っており、そのバクテリアが木などのセルローズを分解して
いるのだそうです。自然界は共生という巧妙な働きによって支えられているのです。
では人間の場合には、そう言う働きはないのでしょうか。退化して小さくなってしまった盲腸の代わりに、その働きをして
いるのが大腸だそうです。小腸を経由した消化物は大腸に送られます。大腸の中ではどんな事が行われているので
しょうか。
全長は約1.5mの大腸ですが、腸内には約100種類、100兆個もの細菌が住みついていて、これらの菌は消化・吸収を
助けるだけでなく、病原体(サルモネラ菌や赤痢菌など)が入ってくると阻止しています。けれど、暴飲暴食をしたり、体を
冷やしすぎたりすると腸内細菌のバランスが崩れることがあるそうです。従って、大変デリケートなものでもあると言える
わけです。この多くの細菌の働きを善玉菌とか悪玉菌等と呼んでいます。
実はカスピ海ヨーグルトというものの存在を知ったのはつい最近の事です。中学校時代の同級生達と飲んだときに聞き
ました。同級生の一人がこのヨーグルトの種菌を持っており、近々分けて貰うのだと話していました。大変興味のある話
でしたので記憶の中に残っていました。そして先日の事です。家内が通っているフィットネスクラブの仲間にヨーグルトを
貰ってきたというのです。その際、貰った資料にはカスピ海ヨーグルトと書いてありました。しゃれた名前です。カスピ海と
言うからにはカスピ海周辺で愛用されていたヨーグルトではないでしょうか。
ヨーグルトにも色んな種類があって、一番良く知られているのは豆腐状に固まった市販のヨーグルトではないでしょうか。
ところがこのカスピ海ヨーグルトは糸を引くように粘っこいのです。チーズを溶かしたときのような粘り気のあるものです。
酸味も比較的少ないようです。効能書きを見ますと便秘が解消すると書かれていました。便秘は直腸を含む大腸と密接な
関係があります。恐らく大腸内の細菌のバランスが崩れたりすると便秘になったり、下痢気味になったりするのではない
でしょうか。
早速、私も食べてみました。これが本当の事なのかと思うくらい便秘はなくなりました。私は若いときから胃腸関係が弱く、
体調が悪いときに一番にしわ寄せが来るのは消化器官です。わけても大腸は便秘になったり、下痢してみたりと様々に
様子が変わります。続けてみなければ分からない事ですが、このヨーグルト菌は丈夫な菌で強い消化液にも耐えるとの
こと。恐らくは大腸まで達して他の有用菌と一緒になって悪玉菌の繁殖を押さえているのかも知れません。
このヨーグルトを作るのは簡単な事です。種菌を新しい牛乳に混ぜるだけです。そして温かいところに置いておけば、
たちまちにしてヨーグルトになります。発酵が終わったら冷蔵庫にでも貯蔵しておけば良いようです。注意しなければ
ならないのは雑菌を入れないことです。そのためには出来るだけ容器の移し替えをせず、牛乳パックの中に直接種菌を
入れるのが良いようです。種菌の入手が出来たら是非試してみて下さい。
カスピ海ヨーグルトのふる里では長寿の人が多いそうです。そんな事もこのヨーグルトの働きの中にはあるのかも
知れません。
2002年8月30日掲載
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