牛やブタの病気である口蹄疫が、世界的な流行の兆しを見せている。口蹄疫そのものは、
きな昔からあった牛やブタ等のウイルス性感染症であるが、近年イギリスで発生し、大社会
問題となった。ヨーロッパ各地では、イギリスからの牛肉の輸入制限をしたり、それが原因で
一時、欧州連合(EU)の体制そのものにも影響しかねないような大騒ぎとなった。現在では
イギリスだけでなく、ヨーロッパ各国に飛び火し、遠く離れた台湾やモンゴルでも感染の疑い
の濃厚な牛が見つかる等、深刻な状況を呈してきた。今や口蹄疫は世界的な広がりを見せ
始めたようだ。日本も食肉や畜産品の輸入を制限しているが、病原菌が持ち込まれるのは
時間の問題ではないだろうか。(日本でも疑似感染らしきものも発見されている)
口蹄疫は空気感染もするし、人間の移動によっても拡散する。実に始末の悪い感染症だ。
今のところ感染した動物は、焼却処分しか対処の方法がない。畜産農家にとっては実に
深刻な問題であるし、私達消費者にとっても、決して見過ごしには出来ない問題である。
世界の食肉や乳製品は各国間を互いに行き来している。従って、一国の輸入を制限した
だけで問題の解決になるのだろうか。特に、家畜の飼料には家畜の骨などが粉砕されて
混ぜ込まれている。従って、畜産品のみならず、家畜の飼料にも配慮が必要だ。こうして、
今日ではあらゆる食品が世界を互いに行き来しており、一国の問題は世界中の問題に
なりかねない状況にある。このことを真剣に考えなければ、深刻な食料不足ということも
十分懸念されるような事態にも、なりかねないのではないだろうか。
家畜を媒体にした、もう一つ深刻な問題が発生している。もう何年も前の事になるが、
これもイギリスに端を発した牛の病気である。プリオンという生物とも単なるタンパク質とも
異なる、実に奇妙な物質によって引き起こされる牛の病気である。名付けて「狂牛病」という。
始末が悪いのは、狂牛病に感染した牛の肉を食べると、人間にも感染するのではないかと
言われている点だ。本当に人間に感染するのであれば、口蹄疫以上に深刻な問題である。
こちらも家畜の飼料を媒体にして、感染が広まっているという。畜産農家は家畜の飼料の
多くを輸入に頼っている。飼料の高い安いが収入にも関係してくる。従って、収入を増やす
ためには、より安い飼料を求めるようになる。こうして世界中から様々な飼料が入って来る
のだ。この飼料の中に狂牛病に感染した羊の肉や骨が入っていたのが、イギリスでの狂牛病
の発端だと言われている。
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