
セットは、四方すべてが4メートル余りの小さな四角い部屋。この部屋の中で展開されるドラマです。
部屋の中には、男女が数人、誰に連れてこられたのか、いつ連れてこられたのか、何のために連れてこられたのか、
誰にも分からず、気が付いてみると、奇妙な四角い部屋に閉じこめられていたというミステリアスな映画でした。
四角い部屋は、縦にも横にもいくつも連なっており、部屋から部屋への移動は上下左右前後の6つの壁面に
一つずつある戸を開けてくぐり抜けていく。
それぞれの部屋には奇妙な模様が描かれていて、部屋毎に色違いの照明が不気味です。
人間ただでさえ閉鎖された空間に閉じこめられてしまうと、閉所恐怖症に陥ってしまうものですが、模様も照明も、
より一層、心理的な恐怖に陥れてしまうような効果をかもし出しています。
数人の男女は、互いに自分の過去を持ちながらも、決して自分のすべてを見せようとはせず、ある時は協力し、
ある時は反発したりゆがみあったりして、抜け道探しに必死となります。
しかし、行けども行けども同じような部屋の連続で次第に疲れてきます。疲れてくるに従って、疲労は焦りとなり、
お互い自分自身の精神を追いつめていきます。
追いつめられた心は、仲間への猜疑心や苛立ちとなって、お互いが信じあえないまま、更に追いつめられていくと
いう、まるでこの終わりのないキューブとの駆け引きのように、止めどなく追いつめられていくのです。
行く先々の部屋には、殺人の為の色んな仕掛けがあり、何度も命を落としそうになります。
そうして、次第に互いに傷つけたり殺したり、あるいは殺人の為の仕掛けに気付かないまま、一人欠け、二人欠け
と仲間が死んでいきます。ビデオになっていますので、是非一度鑑賞してみて下さい。
この映画は人間の弱さ、愚かさをキューブ(四角い部屋)と言う特殊な設定の中で描いて見せた傑作と言えるのでは
ないでしょうか。監督の名前はわすれてしまいましたが、近年まれにみる印象に残る映画でした。
1999.11.3 掲載
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