
日韓、和解から協調へ
いよいよサッカーのワールドカップ世界大会が開催間近になってきました。今回のワールドカップは日韓が共同
開催国となっての大会です。
振り返って見れば韓国と日本の間には、長い間わだかまりの期間がありました。現在も全てが解決したと言う
わけではありません。従軍慰安婦の問題、教科書問題、閣僚の靖国神社参拝問題等々です。しかし、共同開催国に
決まって以来、両国間の和解は急速に進みつつあります。そして人と人との交流も盛んになってきました。
振り返ってみますと、日韓併合と称して朝鮮半島を植民地化した不幸な時代もありましたが、両国間の交流は
血を分けた兄弟のように連綿として今日まで続いて来ました。日本列島に於いては縄文時代から弥生時代に
かけて、急激に人口が増えた時期があったと言われています。又、ある時期を境にそれまでの縄文人の骨格から
弥生人の骨格に急速に変化しています。これらの事実関係から万を越えるような人が、ほんのわずかな期間に
日本列島へ移動してきたのではないかと推測されています。それまでにも五月雨式に来る人はいたでしょうが、
混血が急速に進むようなものではなかったに違いありません。ある時期、意図的に朝鮮半島や大陸からこの列島に
多くの人が移住したのではないでしょうか。そして狩猟生活を主にしていた縄文人に大陸の文化を伝え、あるものは
同化し、あるものは先住民を追い払いながら、彼らの居住区を広げていったのではないかと思います。それは
アメリカ大陸を席巻したヨーロッパからの移民にも似ていたのではないかと思います。
その後の歴史は教科書に書かれているとおりです。日本海を渡って出雲にも、ここ吉備にも、あるいは九州にも、
近畿にも、たくさんの人が入ってきたのではないでしょうか。朝鮮半島に祖先を持つ人達が、小さな国を作り、
それが次第に大きな国へと発展していったのではないかと思います。それぞれの部族国家には朝鮮半島の
出身地毎の絆があり、離合集散と争いや和解の道への足がかりとなった事でしょう。日本海を挟んでいつまでも
両方の地には切っても切れない強い繋がりがあったに違いないのです。
大和朝廷は国家統一間もない頃、朝鮮半島に大軍を送っています。そして、報復を懸念して西日本各地に山城を
築かせています。(岡山県には鬼の城があります)私達の血の中には明らかに大陸からの血が流れています。
それは朝鮮半島に非常に近いものではないかと思われます。そして、秀吉の時代には朝鮮征伐と称して再び
大軍を送っています。江戸時代になると平和に戻り、朝鮮通信使が何度も日本を訪れ大陸の情報や文化を
伝えています。このように朝鮮とは長い間その時代その時代の行き来を続けて来たのです。非常に因縁深い国と国
であったと言えるのではないでしょうか。
そんな事を考えあわせると朝鮮民族を属国のように扱ってきた戦前の政策は何だったのでしょうか。お互いに支え
合ってこそ、共通の先祖や文化文明を持つもののあるべき姿なのではないでしょうか。今回のワールドカップ世界大会
に先駆けて日本の皇族も韓国を訪問すると聞いています。今こそ不幸な歴史を乗り越えて強調の時代を築きたいもの
だと思っています。先のNHKの特集番組では色んな角度から韓国問題を捉えていました。参考になる良い番組だった
と思います。次代を担う若い世代の交流や教育者同士の交流、産業界の交流、音楽を初めとする文化交流等を
幅広く取り上げていました。
韓国の人達の日本を見る目もわずかずつながら変化の兆しがあるようです。数年前、韓国も経済危機という苦い
経験をしています。まだ日本は暗闇の中で足踏み状態です。同じ経験をしたもの同士がしっかりと手を繋いでいけば、
経済面に於いても必ず新しい明日が見えて来るはずです。
金大中大統領の任期は後わずかだと言われています。金大中さんにとって日本は何かと因縁深い国です。その
大中さんが大統領に就任して以来、日本と韓国の距離は急速に近くなりました。望むべくは今後誰が政治のトップに
就任しようとも両国間の交流がよりいっそう進み、文字通り和解と協調の時代が来ることを願って止みません。
ワールドカップが成功裏に終了し、出来れば早く北朝鮮とも和解の日が来ることを願っています。そして、北朝鮮の
門戸が開放され、北朝鮮の人々が死線をくぐって脱出しなくても良いような時代が来ることを心から祈っています。
2002年5月23日掲載
こんな時代が来ようとは誰が想像したでしょうか。「冬のソナタ」の大ヒットは、当の制作者や俳優だけでなく多くの
人が驚きの目で見ています。確かに「シュリ」という映画が大ヒットして以来、その兆候はありました。それにしても
よもや韓国ものがここまでヒットしようとは・・・・。
何はともあれ、こんなにうれしいことはありません。隣国同士が仲良くすることは大変良いことですし、その上、
朝鮮半島と日本列島の間には民族的に共通の血が流れているのです。長く不幸な時代がありましたが、それを
乗り越えて、よりいっそうの交流拡大を願うものです。
2004年9月27日追記
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