島興しの女性達

岡山県の笠岡市の沖合には小さな島が点々と連なっています。今は陸続きになった神島、そして高島、白石島、
北木島、真鍋島等と言った島々です。神島には島を巡る神島八十八ヶ所巡りがあります。早春の神島には鈴の音
が流れ白装束に身を包んだお遍路さん達の姿が見られます。そして、その沖合には古代の多くの遺跡が眠る高島
があります。底引き網などで観光客をもてなしてくれる民宿もあります。更に沖合には、念仏踊りの原型とも言われ
無形文化財である白石踊りの島、白石島があります。そのすぐ向かいには花崗岩の島として有名な北木島があり
ます。白石島、北木島は夏になると海水浴の島としても賑わいます。そして更に沖合に真鍋島があります。走り御輿
で有名な島です。漁業が盛んで、かつては除虫菊の島としても有名でした。今でも島興しの一つに花(鑑賞菊)の
栽培が行われています。
これらの島に共通していることは歴史と伝統が息づいている島だと言うことです。瀬戸内海が交通の要衝として
栄えていた頃、これらの島々には盛んに新しい文化が入ってきました。草深い田舎よりは遙かに新しい文化に影響
された島々だったと言えるのではないでしょうか。しかし、時代が新しくなると共に島は取り残され始めます。それは、
島に人々の生活を支えてくれるだけの収入がないことなのです。漁業がダメになり、石材や石の加工産業が外国
からの輸入品に押され始めると、島の人口を支えていくだけの収入がなくなってきました。特に若い人達は島での
不自由な生活を嫌って島を出ていきます。こうして島の人口は徐々に減少し、お年寄りばかりが取り残された過疎
の島となりつつあるのです。この現象は笠岡諸島だけの事ではありません。瀬戸内海の島々共通の現象と言える
のではないでしょうか。
しかし、こんな島で頑張っている女性達がいます。インターネットを活用して取り組んだのが電脳真鍋島新聞でした。
インターネットによって島興しをしようという試みでした。岡山県地方では何度かマスコミによって紹介されました。
しかし、残念ながら人口の減少に歯止めが掛けられるだけの力にはなりませんでした。そして今、島では島と島が
連携して更に大きなネット作りに着手しています。曰く「島づくり海社」と言います。そして、島興しの産業として菊作り
やゴーヤといった農産物、ゴーヤ(にがうり)を加工したゴーヤジャム等を開発し売り出しています。少しだけの不便さ
を除けばこんな住み易いところはないのではないでしょうか。島の自然は豊かです。そして、今は周辺から失われて
しまった人々の温かさと古い町並みが息づいているのもこれらの島々なのです。
これらの島興しの産業が成功することによって人口の減少に歯止めがかかり、島に活気が蘇る事を願っています。
これからも島が生き残っていくためには何をすればよいのか、女性達の模索は続きます。がんばれ真鍋島、そして
島の女性達。
2002年10月19日掲載
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