旬の味わい

今までは果樹や野菜の作り方などを書いてきましたので、ここでは味わうことについて書いてみたいと思います。家庭
果樹や野菜については作る楽しみもありますが、出来たものがどんな味なのか大変楽しみなものです。また、家庭で
作ったものなら、どんなに小さくても、また形が悪くても、それなりにおいしいものです。
だからこそ作る楽しみがあるのかも知れません。収穫時期になって今か今かと待つのは大変楽しみなものです。そんな
楽しみを少し紹介してみます。
私の果樹に対するあこがれは子供の頃の貧困にあったかも知れません。私達が子供の頃は総じてみんな食べることに
飢えていました。私の家だけが特別そうだったのではありませんでした。店頭に季節の果物は並んでいましたが、今の
それと較べると大変貧弱なものでした。従って、リンゴやミカンやモモもありましたが、満足するほど買って食べることは
出来ませんでした。
いつかは自分で作ってみたい、自分で作ったものを食べて見たいという思いがずっとあったのです。それが今の果樹作り
のエネルギーになっています。
冬の味わい
冬の味わいで筆頭に上げられるのは何と言っても柑橘類ではないでしょうか。その中でも、もっともポピュラーなものと
言えばやはりミカンです。ミカンは世界に誇ることの出来る柑橘類の一つだと思います。数々の柑橘類が輸入される中、
王様の座を一度も譲ったことがありません。私達が小学生だった頃、秋の運動会の頃には、まだ皮が緑色をしたミカン
が出始めます。随分、酸っぱいミカンだったと思いますが、その頃は、それでもおいしく感じていました。今となっては比較
する術もありませんが、今のミカンに較べると月とスッポンの違いがあるのではないでしょうか。それほどミカンは改良
され、味が良くなっています。そして、今はハウス栽培という技術が導入され、季節はずれの甘いミカンを食べることが
出来ます。
季節はずれのミカンもそれはそれなりに良いのですが、やはり本来の季節に食べるミカンが一番おいしいのではない
でしょうか。木で完熟したミカンには、店で買って食べるものにはないこくというものがあります。甘みと酸味が適度に
ミックスして、しかも味が濃いのです。濃縮ジュースのような味わいなのです。とても文章では表現できない味です。
親戚から毎年、和歌山県のミカンを送ってくれます。恐らくは上等なミカンだろうと思います。甘みもあります。味も
そこそこ濃い味です。しかし、家で取れたものとは較べようもないのです。それほど木で完熟したものは味が良いの
です。小鳥たちも良く知っていて甘くなるのを待っています。そして甘くなったものから次々につついていくのです。
野生の生き物たちの感には素晴らしいものがあります。
最近、市販のハッサクの中には木で完熟させたものが出回っています。ハッサクも木で熟れたものは味が異なり
ます。甘みがあるのです。十二月の末に収穫して、すくもに入れて囲っていたものよりはおいしいようです。私も全部は
収穫せず、何個か残しておいて二月頃になって食べています。しかし、注意しなくてはいけないのは、ある程度完熟
すると木から落ちるものが出てきます。従って、やはり一般的な収穫期は十二月の末頃となってしまいます。
今年は数を制限して間引いたせいか、大変大きなハッサクが出来ました。まるでザボンのような大きさです。今まで
見たこともないような大きなものが何個も出来ました。これも家庭果樹ならではの事です。一般的に大きいものは
大味だと言いまが、果樹に限っては大きなものほど味も良いようです。大きなハッサクは酸味も少なくハッサク特有
の甘さがあるのです。
夏みかんは甘夏を作っていますが、甘みもあるのですが、酸味の方が勝っていてやはり好みではありません。しかし、
ほかしてしまうのはもったいないので、搾って焼酎の夏みかん割りにして楽しんだり、マーマレードにしています。
なかなか好評のようです。
味や香りの良いのは伊予柑でしょうか。今年はたくさん出来ました。少し間引いたのですがそれでもたくさん出来ま
した。大粒小粒と不揃いな伊予柑でした。
こうしてハッサク、甘夏、伊予柑が終わる頃になると安政柑が熟します。安政柑には好き好きがあるようです。酸味も
少なくさりとてさほど甘くもなく不思議な味です。知り合いの中に安政柑が大好きだと言う人がいていつもこの人の家に
貰われて行きます。尾道からのしまなみ海道の途中に瀬戸田町がありますが、ここの特産品となっている柑橘類の
一つです。
冬の味覚で忘れていけないのはキウイです。キウイも箱に入れて囲っておくと一冬は持つようです。こうして囲って
置いたものを出して、リンゴを入れた袋に入れ温かいところに置いておくとやがて酸味が抜け甘くなります。そのまま
食べて良し、他の果物と一緒にしてヨーグルトなどと一緒に食べると最高ではないでしょうか。
今年の冬に分かった事ですが、キウイは段ボールの箱に入れたままにしておくと萎びてしまいます。そこで蓋のある
発泡スチロールの箱に入れてみました。こちらは萎びていませんでした。保存には密閉の効くものが良いようです。
2003年4月2日
初夏の味わい
枇杷
年が変わって一番に味わうことが出来るのは枇杷です。一冬かけて咲いた花は早春には小さな実になっています。
その実を早くも虫達が狙っています。恐らくは甘くもない実だと思うのですが、彼らには彼らの食性があるのでしょうか。
虫達の旺盛な食欲と競争のように袋を掛けていきます。そのままですと一本の茎に何個もの実が付いていますので
二個から三個位に間引いてから袋を掛けます。
木が大きくなり高いところの枝には手が届かなくなりました。何度か枝を切り戻して低くはしているのですが、枝の
広がりもありますから、どうしても手が届かないところが出てくるのです。
6月に入ると白い袋から色づいた様子が見えるようになります。気が付いた時にはカラスに袋をつつかれ、熟した
ものだけを食べています。周辺には皮や種が転がっています。器用に皮をむき種は出して食べたようです。早速、
遅ればせながらネットを張ります。
今年は学習したのか、それとも枇杷の誘惑に勝てなかったのか、ネットの隙間からも盗んだようです、相変わらず
被害が続きましたので、更にネットを追加しました。さすがに、こうなると近づけないようです。すぐ近くにまで来て
悔しそうにカアカアと鳴いています。
枇杷の食べ頃は、酸味が抜け皺が寄り始める直前が非常に甘くておいしいです。熟れ初めは甘みもありますが、
多少、酸味が残っていますので、酸味が好きな人にはお勧めかも知れません。枇杷は種が大きいのが難点ですが、
大きく熟したものの果肉は厚く、十分食べ応えがあります。そして、非常にジューシーです。子供の頃から食べて
いた果物ですが、自分で作り始めてから十分に味わうことが出来ました。店先には出ていてもわざわざ買ってまで
食べることはなかったからです。
今年も何度かに分けて収穫しました。やはり日当たりの良い方から順に熟れますから、収穫には丁度良いのです。
6月14日には、ほとんど収穫を終わりました。ほんの少し私が畑仕事の間に食べる位を残しています。
児島周辺には比較的枇杷の木が多いのですが、どこの木も、これから熟し始めるようで、毎年の事ながら品種に
よるものか、袋を掛けているからか、我が家の方が一週間から十日くらい熟すのが早いようです。
実の収穫が終わる頃には次の年の若い芽が伸び始めています。また、来年を期待する事にしましょう。
白い産毛に包まれた熟した枇杷の実です アンズ
梅の実にそっくりなアンズは6月14日頃、熟して落ち始めました。ここ二、三日で熟したものと思われます。気付いた
時には枝に数個しか残っていませんでしたので、カラスに食べられたのかと思いましたが、草の中に落ちていました。
熟したものはアンズ特有の香りがして、ほんのり甘く、わずかな酸味がミックスした季節ならではの味わいです。
格別おいしいと言うほどのものではありませんが、熟したものでなければ酸味が強くて食べられませんので、家庭の
味わいを楽しむといった果樹でしょうか。
そんな訳で、もうそろそろ熟す時期かなと思って見てみると、みんな下に落ちていたというような事も良くあることです。
収穫の非常に難しい果樹です。近所の家では食べないのか毎年たくさんの実が道に落ちています。
冬の味わい
ハッサク
我が家の果樹の中で一番重宝しているのはハッサクではないでしょうか。買えば一個100円位はするハッサクが
ワンシーズン食べられるのです。こんなにうれしい事はありません。その理由の一つは大変日持ちが良い事です。
我が家では年末に収穫し、一月いっぱいは籾殻の中に入れて囲っています。そして、スーパーマーケット等に出始
めた頃を見計らって、やおら取り出す事にしています。すると、酸味も適度に緩和され甘みが増しているのです。人情
として大きいものから順番に食べてしまいます。従って、シーズンが終わる頃には小さいものばかりが残っています。
以前から、大きいものの方が甘みもあっておいしいという事は経験的に知っていました。しかし、何故そうなるのか
知りませんでした。先日、何かの番組で日当たりの良いところほど大きな実が出来る事、大きな実になるほど成熟まで
の期間が長く、糖度が増しておいしくなるのだと言う話を聞いて、なるほどと思った次第です。
リンゴなど秋から冬にかけて収穫する果物を除外すると、大抵の果物は気温が高いときに熟してしまいます。従って、
日持ちが良い果物でも一週間位が限度ではないでしょうか。桃などは収穫したら、すぐ冷蔵庫の中へ入れて置かなけ
れば腐ってしまいます。夏場に収穫する果物は気温との闘いです。
その点、柑橘類の多くやキウイ、リンゴは秋から冬にかけて収穫するので、その心配はありません。蜜柑、ハッサク、
夏みかん、伊予柑など、いずれもそのままにしておいても一ヶ月位は大丈夫です。
近頃は、完熟のハッサクと称して籾殻などに囲っておくことをしないで、二月頃、木に成っているものを収穫して売って
います。これが完熟と言えるのかどうかは分かりませんが、確かに甘みは増しているように思えます。籾殻に囲って
置いたものと食べ較べてみましたが、際立った差はないように思えます。
ともかく、今年は全部収穫せず、いくらか取り残しておきました。それを畑仕事の間に食べています。昨日も畑仕事
の間にのどが渇いたので一個取って食べました。春の日に輝いて白く見える瀬戸内海を遠くに見ながら食べるハッサク
の味わいは格別なものがあります。これもまた、果樹栽培の楽しみです。
ハッサクは八朔と書きます。昔は八朔の頃に収穫して食べたというのですが、果たして本当の事でしょうか。私は
ダイダイを取り残して置いた事があります。取り残したダイダイは、色が退色し緑に戻ってしまいます。そして更に大きく
なります。その代わり、夏場に割ってみると汁気がなくなってしまいぱさぱさの状態になっています。また、この年には
新しい実が付きませんでした。木が新しい実を付ける必要を感じなかったからかも知れません。従って、それ以降は
必ず収穫してしまうことにしています。
ハッサクも収穫する頃になると、ヘタのところから離れて落果する事があります。完熟したと言うサインなのでしょうか。
桃は完熟するとへたのところから離れて袋の中に落ちています。これは、多くの果物で見られる現象です。
我が家にはハッサクの木が二本あります。いずれの木も見上げるほどの大木となりました。今年は手入れや収穫を
し易くするために上に伸びた枝は切ってしまいました。従って、今年の収穫は期待できないかも知れません。専業農家
のようにコンスタントな収穫は望めませんが、それが素人の果樹作りの楽しさかも知れません。
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