うどん

私が住んでいる児島は瀬戸内海を挟んで四国と向き合っています。瀬戸大橋の彼方には讃岐三座と呼ばれて
いるきれいな三角形の山々が並んでいます。中の一つが讃岐富士と呼ばれている飯野山です。山の大きさは
本物の富士山に比較すべくもありませんが、整った三角錐の形をしています。
これら四国三座の麓に広がるのが讃岐平野です。この平野では昔から多くの農産物が作られ、その中に小麦
もあったようです。そんな事から、昔からうどんも作られてきたのではないでしょうか。もっとも日本中、裏作には
大麦や小麦を植えていましたから、この地方に限らず、うどんの産地やソーメンの産地が出来たようです。
ちなみに香川県の小豆島は小麦の産地であり、製塩も盛んであったようでソーメンの産地になったのではないで
しょうか。
昔は流通が今日ほど発達していませんでしたから、農家ではほとんど自給自足に近い状態でした。そんな訳で
小麦を作れば粉にしてうどんを打っていました。大豆を作れば豆腐を作り、こんにゃく芋を植えておれば、自家製
のこんにゃくを作っていました。今でもそれらがその地方の特産品となって残っています。
さて、四国には弘法大師が開かれたという四国八十八カ所があります。今でもお遍路さんにお接待という習慣
が残っています。そんなお接待にも打ったばかりのうどんが振る舞われているようです。
今、四国はうどんブームだそうです。全国各地からうどんツアーなるものまで繰り出しているようです。ツアーの
対象となっている、これら有名うどん店は店構えが立派なものばかりではなく、うどん工場の片隅を利用したような
ところも少なくないようです。うどんの薬味である葱も店の近くの畑で作っているようなところもあるようです。そして、
これら有名なうどん店は、それぞれの味や特徴を競い合っているようです。
私自身、別にうどん通ではありませんし、うどん通の方々のようにように味や腰の強さへのこだわりは持っていま
せん。しかし、うどん好きな人は腰のあるうどんとか、歯ごたえのあるうどんと良く言います。
これらうどんの特徴を決めるものは何でしょうか。原料である小麦粉と塩加減、水加減でしょうか。その他、練り
具合と寝かせる時間なのでしょうか。うどん屋さんに言わせれば、その地方の気候や風土も微妙に影響すると言い
ます。
私もライフパークの講座で、そばの打ち方と、うどんの打ち方を勉強しましたが、特別、これがと言うほどの特徴
はなかったように記憶しています。但し、そばとうどんの打ち方は大きく異なる部分があります。
私が足繁く通っていたうどん店があります。「綾川」という店です。頑丈な体つきの大将がうどんを打っていました。
うどん打ちは大変な力仕事です。その力仕事にふさわしい体をしていました。その大将の自慢は四国の小麦粉を
使っていると言うことでした。大将に言わせれば「綾川」のうどんが評判なのは、小麦粉が良いからだと言うことの
ようでした。もちろんそれだけではなく、うどんの打ち方にも大将なりの工夫があったのだと思います。
ここ児島は地理的条件からか、やはり、うどん屋さんが比較的多いようです。そして、どの店も結構繁盛している
ようです。セルフの店もあります。最近、四国から新しいうどん屋さんが進出してきました。この店はうどんブーム
にのって東京にまで店を出したようです。安いことと比較的味も良いことから、児島でもたちまち人気店となったよう
です。昼時間にはいつも行列が出来るほどです。トッピングが自由に選べるのも魅力のようです。素うどんだけの
基本料金は安いのですが、ついついトッピングにあれこれ選ぶと金額は他の店と変わらないくらいになってしまい
ます。しかし、目の前に色んなものが並んでいると、ついつい手が出てしまうのは人情です。
こんな事から今日はこの店、次はこの店と色んな店の味を楽しんでいます。こんな事が出来るのも、うどんブーム
のお陰かも知れません。
2003年8月6日掲載
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