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かなり昔の話だが、「2001年宇宙の旅」というSF映画が大ヒットしたことがある。壮大な音楽を背景に人類の夜明けを
描き、それに続く軽快な音楽は人類の宇宙時代到来と、快適な宇宙旅行をイメージさせるに十分な映画であった。
その当時は2001年なんて遠い将来の事ぐらいの認識しかなかった。しかし、考えて見れば2001年は、すでに目前に
迫っている。2001年から9年、今回ビデオで見た映画は「2010年」という題名の映画でした。「2001年宇宙の旅」の
続編です。これらはアメリカのSF作家アーサー.C.クラークが書いたベストセラーを映画化したものです。
2001年、アメリカは木星に向けて有人の探査機を飛ばすという壮大な計画を立てて実行した。宇宙船は、ハル9000
という人間並みの思考力をも持った高性能なコンピュータによって制御されていた。ところが航海の途中でハル9000
は隊員達を次々と殺害し、宇宙船の乗っ取りを計ろうとした。最後の生き残りとなったボーマン船長がコンピュータの
心臓部とも言える記憶装置を引き抜いて電源を切ってしまい、宇宙船の乗っ取りは途中で挫折するのだが、
木星探査機は結局、木星を探査するという初期の目的を達成できないまま、ボーマン船長と共に宇宙に放置される
ことになってしまうというのが、前回の映画「2001年宇宙の旅」のストーリーだった。
「2010年」
今回は、木星探査計画の責任者自らがハルの設計者を伴ってソ連の宇宙船で、再度、木星に向かうところから話は
始まる。このSFの背景には、謎の物体モノリスが絡んでいる。モノリスは月探査の際発見され、人類の進化に
重大な影響を及ぼしたものとして登場する。今回は、月で発見されたものよりはるかに大きなモノリスと再び
木星の衛星の軌道上で遭遇する。木星の衛星イオには発達の初期段階の生物が発見され、ここでもモノリスが
大きな影響を及ぼしている。かつての木星探査機は無傷のまま、木星の軌道上で発見され、アメリカ隊員が乗り込んで
ハルの機能を回復させ、今までの事件の解明を計ろうとするが、ハル自身も途中で機能を失っており詳細は
分からない。そうしている内にボーマン船長が何処からともなく現れ、早くこの場所から退避するように警告を
発する。ボーマン船長の魂とモノリスは密接な関係がありそうなのだが、この辺は謎だらけだ。
木星軌道から離れるには大量の燃料を必要とするが、ソ連の探査機にも、アメリカの探査機にも余力はない。
結局、アメリカの探査機を木星軌道からの離脱用として使い、ソ連の探査機で帰還することにするのだが、問題は
そればかりではなかった。地球上ではパナマ運河の利権を巡って、ソ連とアメリカは戦争突入直前の状態にあり、地球から
は、両国隊員の間を引き裂くような命令が再三届く。そうこうしている内に、木星では異常な事態が発生し、地球上
からも、その異変が観測され始めていた。
それは何万というおびただしい数のモノリスが刻一刻と数を増し、木星の表面で大きな渦を巻き始めていた。
そしてついにディスカバリー号が全力で脱出を計ったばかりのところへ大きな衝撃波がやってきた。
木星が太陽となったのである。太陽系第二の太陽として活動を始めたのだ。
地球上での争いは、この大きな天体異変の衝撃で核戦争は回避され、一挙に平和的解決に向かった。
かつて人間の進化に大きな影響を与えたモノリスは、新たな生命を木星の衛星イオに誕生させると共に、地球上に
おいては人類破滅の危機を救ったのだ。
2001年に向けて
以上が「2010年」という映画のストーリーだが、原作者のアーサー・C・クラークが、この小説を書いた時代から、
世界は大きく様変わりをしてしまった。今はもう敵対する2大国の一方の国、ソ連はなくなってしまった。アメリカも
単独で有人の宇宙船を飛ばすだけの経済的余裕はない。そして技術的な面に置いても、木星探査機は無人では
何度かそばまで行っているが、まだまだ木星を含めて多くの惑星の全貌を解明できるような状況にはなっていない。
それどころか先日は火星探査機すら失敗に終わっている。まだまだ、SFの世界には大きくかけ離れている。
しかし、確実に進歩しているものも数多くある。2001年には無理でも、必ず近い将来、探査機は有人で飛ぶに違いない。
その時はアメリカ、ソ連といった超大国だけではなく、この地球上のものが、みんな協力して、地球発木星探査号として
宇宙へ旅立ちたいものだ。その時こそ、人類の第二の幕開けといえるのではないだろうか。
2000年1月 掲載
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