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井原線は第三セクターの路線として再出発しました。旧国鉄時代に建設が始まり、その後、国鉄赤字路線の
全国的な切り捨ての際、建設途上、放棄されたままの幻の路線でした。
岡山県の総社駅から井原経由の広島県神辺駅までの路線です。高梁川に架かった鉄橋は何年間も
放置されたままで赤錆びた無惨な姿をさらしていました。
(実は先日、井原鉄道(株)からメールが来ました。赤錆びて見えるのは、放置されているのではなく、塗装の
代わりの新しい工法だそうです。)
元々、井原と神辺間には私鉄の井笠鉄道が走っていました。私が子供の頃の話です。自動車やバス路線の
方が中心となり廃棄されたのです。
マッチ箱という渾名の小さな鉄道でした。その鉄道路線がこの井原線に取り込まれたのかどうかは定かではありません。
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2月の冬晴れの寒い日、私と家内の二人は総社駅を起点に出発しました。総社駅には駐車場がないので
日曜日だったこともあり、市役所の駐車場に入れさせてもらいました。駅までは歩くと、かなりの距離です。
発車間際の駆け込み乗車でした。2両編成の車内はすでに満席でした。やっと見つけた空き席に座らせて
もらい発車です。この車両はディーゼル車とのことですが、音も小さく揺れも少なく快適な乗り心地です。
ワンマンカーのような作りにはなっていますが、車掌さんも乗っています。すでに一度は現役を退いたような人です。
それでも元気良く車中を歩き回って切符を切ったり検札をしています。
真新しい制服の運転手さん 車内では一度は乗ってみたかったという観光目的の人が多いようです。盛んに車中から周りの景色にカメラを
向けています。私もデジカメで何枚か写してきました。
周りの景色はまだ冬枯れのせいもあって色の変化に乏しいものでしたが、春から 初夏にかけては
緑あふれる景色が楽しめるのではないかと期待されます。
車両の窓も大きく景色を楽しむための配慮もなされているようです。
ではここで神辺までの停車駅を紹介しておきましょう。
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総社駅−清音駅−川辺宿駅−吉備真備駅(きびのまきび)−備中呉妹駅(くれせ)−三谷−矢掛駅−小田駅−
荏原駅−井原駅−いずえ駅−高屋駅−御領駅−湯野駅−神辺駅
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線路は続くよどこまでも 高梁川の鉄橋
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それぞれの駅が地域における特徴をいかに生かそうかという工夫をしている。それは駅名を書いた看板にも
現れていて、地域自慢の産物や観光場所、歴史的な人物などを取り入れていて面白い。
鉄道はほとんどの部分が高架になっていて見晴らしがよい。トンネルは何カ所かあるにはあるが気にならないくらいで、
その点、新幹線のように退屈することはない。
私達が降り立った駅は井原駅と神辺駅だけなので、感想を語るにはおこがましいのですが、両駅の印象が
あまりにも対照的だったので、感想を一言。
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井原市がいかに、この鉄道に期待しているのか、その期待の大きさが、この駅を見れば分かるような気がします。
駅舎はガラス窓をふんだんに取り込んだ超近代的な建物である。源平合戦で有名な那須与一にちなんで
弓と矢をイメージしたという建物は新しい駅にふさわしいデザインだ。駅前も鉄道開通に会わせて整備されたようで
大きな道路が近代的な駅にふさわしい。井原市は、この鉄道を足がかりに大いに発展してもらいたい街である。
駅舎内では開業を記念して各種の取り組みをしているようで、この日も地域物産の即売をしていた。
芳井町ごぼう村のごぼうも売っていた。昔なつかしい田舎菓子も売っていた。
あえて意見を言うなら、こういう行事も、もう少し工夫があって良いのではないか、いかにも開業に大急ぎで
まにあわせたという感じがしてならなかった。
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弓と矢をイメージした井原駅 駅前に停まっていたリムジンバス
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私の育った街であり、あまり悪くは書きたくないのだが、今後を期待してあえてここに書いてみたい。
JRと新しい鉄道、どこかで一線を引かなくてはならないのだろうが、駅舎ぐらいは共同で建てて、
相互乗り入れにした方が良いように思うのだが完全に分かれてしまっている。
元々、神辺駅は福塩線の小さな駅の一つだが、それにしてもこの貧乏くささは何なのだろう。
田舎駅なら田舎駅らしいローカルさがあって、それはそれなりに良いものだが、何とも中途半端なのだ。侘びしいの一言だ。
私の乗った列車は福山まで乗り入れる時間帯のものであったらしく、途中下車したのは私たち夫婦の他、数組の家族ずれやカップル。
みんな神辺に降りたものの、どこへ行こうかと迷っていたようだ。観光案内の看板はあるにはあるが、
駅には観光のパンフレットも置いてなく、もちろん観光案内所もないので、これでは観光客はうろうろするばかりだ。
総社駅や井原駅が街を上げての取り組みをしているのに対して、広島県側の終着駅があまりにも寂しすぎるという感じがした。
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神辺湯野駅周辺 神辺駅建て屋
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近代的な駅舎に改装していて気持ちがよい。ここは福塩線神辺駅のように伯備線の駅と井原線の駅と言うようには分離していない。
お互いに保管しあっているようで気持ちがよい。
駅舎内にはパンフレットや観光案内もあり行き届いている。駅前には観光案内所もあり、看板も整備されている。
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総社駅 伯備線(清音駅)
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総社駅
鬼の城,備中国分寺,吉備路風土記の丘,造山古墳等歴史的なものが多い。
備中国分寺(五重塔が見える)
吉備真備駅
奈良時代中央政治の場で活躍した吉備真備(きびのまきび)の生誕地。
近くにまきび公園がある。(地域物産の製造販売をしている)
矢掛駅
蛍の里としても有名。
神辺と同じように旧山陽道の宿場町,参勤交代のお殿様が泊まった旧本陣の建て屋などがある。
矢掛郷土美術館がある。
井原駅
日本を代表する彫刻家平櫛田中の生誕地,田中美術館はお勧め。
子守歌の里として子守歌フェスティバルは全国的な行事に発展。
古くから織物の街として栄え今もジーンズの街としても有名。
嫁入らず観音,嫁楽観音とも言い、老人が嫁に迷惑をかけずに、楽に死ねるようにとの願いから多くの老人の信仰を得ている。
御領駅
広島県と岡山県の県境、広島県側の最初の駅。
近くには八丈岩という巨大な岩が山積した山がある。
古くは松茸の産地でもあった。今は桃が有名。
一つ手前の高屋駅の近くには華鴒(はなとり)美術館がある。
神辺駅
旧山陽道宿場町として古くから開けていた宿場町。
街のシンボル的な黄葉山は福山城より古い時代の山城であり、この地方の戦略的拠点であった。
街の中には旧本陣の建物や頼山陽等とも親交の篤かった菅茶山旧居があり、今は先生の遺品等を集めた菅茶山記念館がある。
神辺町の紹介 神辺町は私の古里です。昔から繊維産業の町として発展し、現在は福山市のベッドタウンでもあります。
神辺町の紹介のところをクリックしますと神辺町のページに行けます。
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沿線には美術館や歴史民族資料館などが多い。
というのも、この沿線が旧山陽道であったこと、そのため古くから人の往来が多く、大変栄えていた地域であった。
そんな事もあり、井原、高屋、神辺は道中往来の人々を当て込んでの絣などの織物生産が盛んであった。
従って、歴史的な展示物も多い。しかし、それだけではなく郷土が生んだ画家や芸術家達の作品を展示している美術館も少なくない。
その代表的なものを紹介しよう。岡山から伯備線、井原線、福塩線、山陽本線と乗り継いで美術館巡りも良いのではないだろうか。
総社(まちかど郷土館)−矢掛(やかげ郷土美術館)−井原(田中美術館)−高屋(華鴒美術館)−
神辺(菅茶山記念館,神辺歴史民族資料館)−福山(広島県立歴史博物館,ふくやま美術館)−
笠岡(竹喬美術館、カブトガニ博物館)
では皆さん、これからの季節、この沿線の景色が一段と美しくなる頃だと思いますので、各駅停車の旅を十分お楽しみ下さい。
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井原線についての更に詳しい情報は下のサイトを見て下さい。
井原線 かわいいイメージキャラクターがお迎えします。沿線各駅の観光や時刻表もついてるよ。
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